object 高大接続教育

三大学の魅力ある教育内容を体験しながら新しい学びの視点を獲得できます

阿部浩二教授

電気通信大学
阿部 浩二 教授

 現在,私たちに求められることは多様な価値観を理解し世界を見通せる広い視野と新しい視点を持つことです。西東京地区の半径5㎞圏内にある本学を含む三大学では,それぞれの専門性をしっかり核として持ちつつ,従来の文系や理系の枠組みを超え協働して世界的な課題の解決に取り組む学生を育てることを目標に掲げています。高校生の皆さんにも文系や理系の枠組みを超えた大学での学びを体験できる「三大学での高大接続教育プログラム」を実施しています。このプログラムによって国際社会でいきいきと活躍できることのお手伝いになればと考えています。
 私たちの高大接続教育プログラムである「高校生グローバルセミナー」では,文系や理系に進学を考えている皆さんもいっしょになって分野横断的なセミナーに参加します。そこでは,高校の学習との繋がりや,そこから発展した大学での学びを大学生や大学院生との交流を通して体験します。魅力ある教育プログラムに直に触れながら新しい視点で学びを深められる内容です。「言語・文化,社会」「工学・情報」「農学・生命科学」のいずれかの分野を学びたい皆さんに参加を奨めます。もちろん複数の分野に関心がある,まだハッキリはしないという皆さんも歓迎です。
 三大学ではそれぞれの大学で開催する「高校生のための教室」も準備しています。それらにも参加するとそれぞれ分野への関心がさらに深まり,新たな発見があるでしょう。
 大学入学後は三大学の学生が集う文理協働の教育プログラムが提供されます。「高校生グローバルセミナー」に参加した体験は,入学後のスムーズな学修につながるでしょう。 

object 学部教育

文理を超えた協働が相互理解を深め、シナジー効果を発揮します

岡山隆之教授

東京農工大学
岡山 隆之 教授

 西東京地区の三大学は,文理協働を実践するグローバル人材養成の取り組みを推進すべく大学間の協力体制の構築に力を注いでいます。
 東京外国語大学は「言語・リベラルアーツ及び地域研究」,東京農工大学は「食糧,エネルギー,ライフサイエンス分野」,電気通信大学「情報・通信(ICT),人工知能・ロボティクス、光工学分野」の高い研究力・教育力をもっています。学生の皆さんはそれぞれの分野を深く学びますが,専門性を追求するあまり,ややもすると自らの専門領域のみに関心を持ちます。しかし21世紀の国際社会が抱える多くの問題は,これまでの専門という境界線を超えた広い視野に立って対象を捉え,その解決に臨む姿勢が必要とされます。おのおの企業や機関で行われる課題解決の多くは,多様な文化,分野の人々が力を合わせながら推し進めることが必要です。例えば理系のスペシャリストが国際的に貢献できるどんなに優れた技術を開発しても,他者に伝えられて活用されなければ意味がありません。どの専門分野であろうと国際社会での分野を超えたコミュニケーション力が重要な時代です。
 特色の異なる三大学は共同して学生教育のために「協働共通教育ブログラム」と「協働専門教育ブログラム」を設けました。たとえば,三大学の全学部学生は「協働基礎ゼミ」を選択することができます。協働基礎ゼミでは一つのテーマを専門分野の異なる学生が議論しながら課題解決に取り組みます。異なる分野の学生と共に学ぶことで幅広い見方が可能となり,新しい視点での課題解決が期待されます。
 さらに,三大学では柔軟に教育活動が継続できるクォーター制の導入(外語大では既に実施)や共通科目の英語化,協働大学院設置の計画等も着々と進んでいます。三大学の文理協働が相乗効果を発揮して,皆さんに新たなパワーを与えるでしょう。

object 国際学術レジデンス・社会貢献

文理協働型の大学教育に対するニーズが
グローバル化の進む国際社会で高まっています

岩崎稔教授

東京外国語大学
岩崎 稔 教授

 三大学連携構想が目指すのは,教育・研究,そして居住の3つの環境における協働の実現です。
 国際学術レジデンスは,「住んで,学ぶ」という2つの機能を結びつけた居住空間であり,これを創り出すことで,さまざまな学問分野を専攻する学生同士はもちろん,海外から来られる研究者や留学生たちとの協働が可能になります。国際的にも優れた外国の方々をお招きするのであれば,その方々がいかに日本語の語られる社会と共存されるかまで配慮しなければ,国際化を真に推し進めることにはなりません。国際学術レジデンスを快適な暮らしが始められるようなゲートウェイとしてもしっかり機能させたいと考えています。
 国際社会では,多様な文化的あるいは宗教的なバックグラウンドに対する理解力や現場感覚を持ち得る人材が必要とされます。理系も文系も両方できるスーパーマンのような人がいるかもしれませんが,まず求められるのは,広い視野を持って理系も文系もいる現場で一緒に働き,チームとして大きな力を発揮することです。
 平成27年度世界展開力強化事業の一環として,既に文理協働型人材育成プログラムが採択されました。理系と文系の学生を一緒に留学させ,地球規模の課題を解決するグローバル人材を養成するのが目的です。その前段階としても国際学術レジデンスのパフォーマンスはきっと役に立つはずです。また国際学術レジデンスを,地元である西東京地区に根付かせて,地域の国際性を高めるなど,さまざまな文化的な活動の拠点として活用してほしいという目論見も立てています。
 世界のグローバル化は待ったなしで進んでいきます。文理協働型の大学教育は社会のニーズでもあるのです。

※所属・役職などは取材当時のものです